ロンドン、ナショナルギャラリー
この文章は2022年7月に書いたもの。
投稿するまでに至らずパソコンに残っていました。
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学べば
学ぶほど
自分がどれだけ知らないのかに気付きます。
スイス、ベルン大学院
ダンスサイエンス
7月の週末授業を
受けてきました。
教授から教わることだけでなく
生徒の皆さんから学ぶ事も多い
色々なプロフィールの生徒たち
バレエ学校の先生
バレエ学校経営者
カンパニーディレクターもいれば
現役ダンサー
クラッシック、コンテ、タンゴ
引退してセラピー分野で活躍している方
年齢も20代から50+まで本当に色々。
学び続けることの大切さを実感。
元々はスポーツサイエンスの研究者
しかしここ7年はバレエとダンスに貢献をなさっている
イギリスの著名なバレエ学校で
ダンサーのコンディショニングや
エクセサイズ・トレーニングの管理をなさる
N教授の授業。
まだまだダンスの世界には
エヴィデンスが少なすぎて
確実な事を言える段階ではないことも多いらしいですが、
スポーツサイエンスから見ると
バレエダンサーの育て方には
疑問点が多いらしく
非効率?!
例として
若い女性たちの
ジャンプが高くならない傾向にある
バレエ学校の先生達のお悩みのひとつ
と挙げられました。
毎日アレグロも
グランワルツも
クラスでやっている生徒さん達
どうして飛べるように
ならないんでしょうか?
ジャンプができないといけない
わけではないのですが、
ジャンプ力のある筋力があると言う事は
難しいテクニックを習得する筋力もある
という事。
もちろんアレグロと
グランワルツでは
主に使う筋力も違う
でも…
ベースになる筋力がなければ
どっちもできない。
ダンサーに必要なのは
ムキムキになる事ではないですが
教授の7年間の貢献の結果が
少しずつ出てきているらしく
全体的に女性たちの
ジャンプが高くなった。
特にコロナ禍に
バレエのフルクラスが難しかった時期に
zoomで小さな部屋で
N教授のエクセサイズを続け
ジャンプ力落ちなかったそうですよ!
ダンスより遥かに進んでいる
スポーツサイエンスから学ぶ事で
有益であれば当然取り入れるべき
しかし
やはりバレエとスポーツは違う
アートだからと言う見解ではなく
生理学から見てもかなり違う。
だからこそ
今後多くの研究がされるべき。
研究の発表にはデータを集める事が必要で
ダンスの研究には
ダンサー達の協力が必須。
ところがどうやらダンサー達って
嘘つき。
アスリート達の限界に挑戦!
というデータ値と
ダンサーさん達の
データ収集する時の真剣さは
雲泥の差らしく…
多くのダンサーさん達
データを取ろうとする時に
なぜか手抜きするんですね…。
これじゃ~データも取れない!!
研究者さん達
ご苦労様です…。
いや~
自分にとっては今までの授業のトップかなとと思うほど
楽しい授業でした。
内容はバライエティーに富んでいて
どれも興味深かったのですが、
バレエのエクセサイズの流れ
特にバーの終わりから
センターの順序が
サイエンスから見ると
おかしい…
と言うのが面白かったです。
テクニックがあっても
筋肉の強さに欠ける
コンディション(持久力)も欠ける
ただ同じソロを
何百回も繰り返しても
強くなる部分が
偏る。
ジャンプができる子は
いつもジャンプが多いソロ。
ピルエットができる子は
いつもピルエットの多いソロ。
この子は
色々な事ができる
強いダンサーに育つ?
プロになる頃には
ある程度の得意な分野ができるにしても
若い子達を1人の先生の見解で
偏った引き出しに入れてしまうのは…
残念すぎる。
スポーツサイエンスから学ぶべき事は多いけれども
考慮する必要がある事の一例は
- 何にフォーカスする=パワーアップしたいのか、体力/コンディションを高めたいのか
- どのくらいの力量を使う=フルパワーか7分目か
- いつ、どのくらいの長さ(時間) =短時間で済ますのか、早くやるのかゆっくりやるのか
- どのくらいの頻度 = 毎日やらない!意味もなく繰り返さない!
そして何よりも大切なのは休憩!
エクセサイズ間の休憩もさることながら
お休みの日も大事。
No.1はやはり…睡眠
そして無闇な練習は怪我のにも繋がる。
効率も悪い。
ロイヤルバレエ学校での取り組み
エヴィデンスに基づいたエクセサイズを取り入れた生徒達の
研究結果が2025年に発表されるらしい。
これを機に多くが変わるのでしょうか?
楽しみですね。